メモリアル・キャンドル

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いつしかキャンドルは3の数字まで到達していた。 「随分ゆっくり燃え進むもんなんだね」 彼が突然ぼそり、と呟いた。  「そーね。 夫婦の末永い幸せを願うアイテムだからじゃない? 長持ちしなきゃ縁起悪いでしょ?」 そりゃそーだな、と彼がケタケタ笑いながらキャンドルの数字を指差した。 「今年で結婚19年目、俺達よく続いたよな」 「そーね、結構ケンカもしたのに別れなかったわねー」 航は微笑んで私をゆっくり抱き締めた。 「今まで、俺に着いてきてくれて、本当にありがとう。 このキャンドルの数字を越えても、ずっと一緒に過ごして行けるといいな…」 唐突な航の言葉に、私は鼻の奥がつん、とするのを感じた。 そして、キャンドルの一番下を指し示しながらこう言った――。 「じゃ、まずは25年を目標にね。 頑張って続けましょ?」 [Fin. ]
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