299人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「は?俺と初めて会った夜、女に迫られてるから匿ってって言ったじゃん」
「それ普通に顔見知りに襲われただけ。俺、人気者だから」
「何言ってんだお前。え、じゃあこのマンションは」
「普通に俺の。貢がせてないよ」
「いやその普通が分からん。親が買ったのか?親の持ち物?」
「だから俺のだって。まあ親が金持ちっていうのは本当だけど、ここは俺が稼いで買ったやつ」
「稼いでってお前の仕事って何。まさか株やってんじゃねえだろうな、そんなギャンブル的なこと許さんぞ」
「違う違う。輸入品の買付け業。海外のバイヤーと取り引きして、日本に仕入れてんの。パソコンがあれば、ほぼ片が付く仕事」
「お前そんな事してたの?初耳ですけど?」
「社長です」
「は!?社長!?会社なの!?」
「社員二千人抱えています。本社は丸の内です」
「はー!?何だよそれー!!あ、分かった、ドッキリだろ、どっかにカメラ隠してんだろ!」
奴はにっこり笑っている。
え……なんかぞわぞわしてきた……冗談、だよな……?
「今座ってるこのソファー、イタリアの本革なんだ」
「へっ、」
「お前にあげたそれ」
「このガラスの鷲?」
「ガラスじゃなく、クリスタルだよ。そのペーパーウェイトはラリック」
「ラリック?ふーん」
最初のコメントを投稿しよう!