「結婚してください」「嫌です」

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「は?俺と初めて会った夜、女に迫られてるから匿ってって言ったじゃん」 「それ普通に顔見知りに襲われただけ。俺、人気者だから」 「何言ってんだお前。え、じゃあこのマンションは」 「普通に俺の。貢がせてないよ」 「いやその普通が分からん。親が買ったのか?親の持ち物?」 「だから俺のだって。まあ親が金持ちっていうのは本当だけど、ここは俺が稼いで買ったやつ」 「稼いでってお前の仕事って何。まさか株やってんじゃねえだろうな、そんなギャンブル的なこと許さんぞ」 「違う違う。輸入品の買付け業。海外のバイヤーと取り引きして、日本に仕入れてんの。パソコンがあれば、ほぼ片が付く仕事」 「お前そんな事してたの?初耳ですけど?」 「社長です」 「は!?社長!?会社なの!?」 「社員二千人抱えています。本社は丸の内です」 「はー!?何だよそれー!!あ、分かった、ドッキリだろ、どっかにカメラ隠してんだろ!」 奴はにっこり笑っている。 え……なんかぞわぞわしてきた……冗談、だよな……? 「今座ってるこのソファー、イタリアの本革なんだ」 「へっ、」 「お前にあげたそれ」 「このガラスの鷲?」 「ガラスじゃなく、クリスタルだよ。そのペーパーウェイトはラリック」 「ラリック?ふーん」     
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