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「婚姻届を書いたこの万年筆、愛用してくれてて嬉しいよ」
養子縁組届な。万年筆は、まあ、お前が折角くれたんだしな。
「お前から貰った時、地味で趣味悪いって思ってたけどめっちゃ使いやすい。このフクロウの絵も可愛く見えてきたぞ」
「確かにあげた時、何じゃコリャって顔してたもんね。Namiki ってところの品で、蒔絵仕立てなんだ」
「万年筆に蒔絵仕立て。どういう組み合わせよ。いや突っ込むとこが違う、蒔絵ってお高いんじゃないの?」
「あはははは。やっと気が付いた。実はどれもアナタの想像の100倍くらいの値段だから」
「嘘つけ。お前に俺の頭の中が見えるのかよ」
「そのラリック幾らだと思ってんの?」
「1000円くらい」
「ほらな」
「え…って事は、ええっと、…嘘だろう?これが10万!?じゃあ万年筆は、普段から高いって言うし、2、いや、3000円くらいじゃ」
「見事に刻んで当てたなあ。そう、30万。あ、ソファーはミノッティで300万だから」
「万年筆、こんな変なので30万!?ソファー300万!もう怖くて座れんぞ。お前も降りろ」
「いや普通に座って。想像どおりだ。面白いなあ」
あはははは、じゃねーよ。こいつずっと笑ってやがる。
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