作られた命、母の元へ

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【A】No.0から量産されたクローンは、彼らの育成を希望とする者達の所へと送られた。 進歩した科学の影響で、齢15歳の体へと数週間で成長したクローン達にはどの能力にも差がなく、均一だった。 運動能力や思考能力はその状態で【K】に匹敵するとスーパーコンピュータは答えを導く。 将来を担うであろう大いなる子供達への期待は膨らんだ。 その子供達の育成を勝って出たのは、多くの者が影響力を得るためだった。 次の【A】を率いる可能性のある子供を育てることで自分の地位を確立したいと思ったのだ。 だが、そのような思想の母の中で普通に愛情をもって育てようとする者が居た。 「【A】No.8、あなたも【A】No.0の模造品を引き取ったのね。」 【A】No.8は模造品と呼ばれた自分の子供の頭を撫でる。 無機質な、まるでなんの感情もないその子供を可愛がるように……。 「【B】No.1、模造品だなんて可愛そうじゃない。 ちゃんと名前をーー」 【B】No.1は自分に宛がわれた子供へと目を向ける。 「ああ、そうだったわね。 あなたのが試験体No.13で私のはNo.34だったわね? まあ、能力は均一だから差異はないけどね。」 【A】No.8は複雑な表情を浮かべる。 「私にはマリア、それにあなたにもベイって名前があるじゃない?」 その言葉に【B】No.1は顔を曇らせる。 「ここでは名前なんて違法よ違法! 昔のゴミ生活なんて私はもううんざりよ! ゴミの頃の名前で呼ばないでって言ってるじゃない。」
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