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そして、ようやく到着した――と思ったら、そこは廃病院だった。
呆然としている僕を無視するように、彼女は破れているフェンスから入り、さらに院内へと進んでいった。
僕は、院内に入ってから、ようやく柱を掴むことで、彼女の足を止めた。
そこは暗く広い部屋だった。
「こんな所まで来ちゃって、いったい何を探してるのさ?」
彼女は、こっちを向くと、
「首よ。私の首」
「えっ? 首って……ちゃんとあるじゃないか……」
その時、僕は気がついた――圭子じゃなかった。
「この首、合ってないのよ……」
両手で顎(あご)を持ち、ズボッと抜くと、ポイッと捨てた。
――こいつは幽霊だ!――
僕が愕然(がくぜん)と、その光景を見ていると、
「あなたの首、良さそうだから、ちょうだい」
側にあったメスを持つと、僕に迫ってきた。
「うわ――!!」
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