はじめまして、ご霊嬢

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それは小さな田舎にあるスーパーの鮮魚作業場でのこと。 その日はパートの私、結衣と社員の早乙女ちゃん、そしてサブリーダーの小田さんの3人で出勤していました。 午後はとても暇で、私と早乙女ちゃんはのんびり恋バナをしながらお刺身を切っていた。 足音が聞こえ、不機嫌そうな小田さんが来たので雑談は中止して作業に集中する事に。 チラリと小田さんの方を見ると手には魚が入った袋が。大方、面倒な注文をされたのだろう。小田さんはなんと言ってるのかは聞き取れないがぶつくさ文句を言いながら切っていた。 荒れてるなー、と思っていたら『うん』と聞きなれない女性の声が小田さんから。 気の所為にしようとしたのだけれど……。 「え?今小田さん誰と喋ってたの!?結衣ちゃんじゃないよね!?」 早乙女ちゃんにも聞こえてたらしく、私も少しパニックになる。 「気の所為じゃなかったの!?やっぱ聞こえたよね?」 「うん、聞こえた聞こえた!小田さんに『うん』って返事した人いた!」 そんな私達に小田さんは呆れ返って 「君達何をそんなに騒いでるの?俺独り言言ってただけだし何も聞こえなかったけど」 本人は至って冷静。 その日はそれっきりでした。
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