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謎の返答騒動数日後、私と小田さんで仕事をしていた。
「いやぁ、参っちゃうよ……」
また面倒な注文を受けた小田さんはため息をついていた。
『あらあら』
驚いて周囲を見回しても私と小田さんしかいない。
「結衣ちゃんどうしたの?」
訝しげな顔して小田さんが聞いてきた。
「また小田さんに知らない人が返事してて」
「ふぅん……」
小田さんは何故か無関心。本当になんにもないようだ。
まぁ、こちらが気にしなければ……。そう思っていたのだけれど……。
「なんか疲れたなー」
『お疲れ様』
「昨日嫁さんがさー……」
『うんうん』
「ちょっと売り場行ってくるね」
『行ってらっしゃい』
流石に無視出来ないレベルの返答で私は焦った。
1人の作業場でキョロキョロしていると……。
「いった!」
上に積んであるトレーが降ってきた。
『うふふ、いい気味』
あの謎の声だった。
「もう、なんなの!?」
「どうしたの?」
いつの間にか戻ってきた小田さんが不審そうにこちらを見ている。
お前のせいだ!とも言えず……。
「いや、トレー降ってきちゃって」
「あぁ、時々あるよね。心臓に悪いよねー」
小田さんはそう言ってからお嫁さんの話を楽しそうにしてた。
そして例の謎の声は小田さんが別の店に異動するまで時折聞こえた。
小田さんもそれには気づかないまま……。
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