第9章

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願わくば間違いであって欲しかった。 こんな時だけ勘のいい自分を恨んだ。 そして そのまま気配が消えるのを 僕は祈って待っていた。 だけど――。 「もう……いいんだ」 誰かさんの方は もう隠れる気はないらしい。 「おいっ……!」 僕のアイマスクを掴む手を 阻んだのは由莉だった。 誰に対する優しさだろうか。 僕かそれとも――。 「本人がいいと言うんだ」 結局 冬馬が手を伸ばし僕のアイマスクを持ち上げた。 それでもまだ 僕はギュッと目を閉じていた。 「汐里――」 真実を知るのが怖かったから。
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