第9章

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優しいキスで目覚めるのはお姫様だけ――。 「いやぁぁっ……!」 不意に唇を奪われて 僕は悲鳴まがいの叫び声を上げた。 目の前にいたのは巨大な孔雀。 いや孔雀の面を被った孔雀男だ。 仮面の下の唇は 甘く綺麗なピンク色をしている。 仮面から覗く双瞳も 子供のように澄んで危ういほど美しい。 「今まで……どこにいたの?」 聞けば 赤いロープに縛られた僕の両手首を辿って 孔雀男は息を飲んだ。 「ここにいたよ――ずっとここにいた」
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