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「みんなして僕を騙してたの……?僕に恥をかかせるために?」
それにしても
再会がこんな形だなんて
あまりに惨めだ。
「そんなんじゃないよ」
「じゃあ一体どうなってんだよっ……!」
僕は裸にされ身動きも取れないまま
腹立ち紛れ縛られた腕を思い切り揺する。
混乱した。
気まずい空気が
何を意味しているのかさえ分からない。
「ダメ……腕が擦り切れちゃうから!」
響也は僕に覆いかぶさり
もがく身体を守るようにすっぽりと抱いた。
「何もかも僕が悪いんだ。でもお兄ちゃんは――」
紛い物でない響也の匂い。
知ってる声。
肌に馴染む温もり。
「――今からもっと悪いことをする」
だけど今までの
兄とはまったく違う顔。
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