第9章

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それで仮面を脱いだ――。 「やめてっ……」 素顔を晒した響也は 柔和な外見ほど融通性はなかった。 「できない」 裸の僕に目をやると 頑なに首を振った。 「響也……」 「言ったろ?お兄ちゃん――今からもっと悪いことするって」 何ヶ月もあるいは何年もかけて 決意を固めていたようだ。 「受け入れるんだ――汐里。僕を受け入れてくれ」 青白い顔で響也が服を脱ぎ始めた時 僕は今日初めて本気で震えた。 「ダメッ……冬馬さん!……由莉さんっ……!」 2人は僕に目をやりながらも 互いを促すように立ち上がった。
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