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――――だから、俺はもう離れらんねぇんだよ。
笑い交じりに、零す。
無理にでも、笑っていないと泣いてしまいそうで。
それほどまでに、感情が、溢れて、零れて、止まらなくて。
「なぁ、璃桜」
「ん?」
ぎゅっと力を込めて、璃桜を抱きしめる。
ふわりとした璃桜の薫りが、俺を包み込む。
だから、許してくれ。こんな、弱い俺のこと。
「………俺らの、場所だ」
「……うん」
「近藤さんと、試衛館のみんなと作り上げてきたこの場所を、台無しにされてたまるか………!!」
そう耳元で呟いたとき。
ぎゅ、と腕を抱え込まれた。
――――馬鹿。
想いが、決壊する、そう思った。
どくん、どくん。
互いの心臓の音だけが、互いの耳に響く。
ああ、困った。耐えらんねぇ。
俺だって、―――男だよ、璃桜。
璃桜、おめぇの所為だかんな。
ぎゅっと抱えた璃桜の頤を取って、口づけようと、した―――瞬間。
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