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璃桜がいるだけで、胸が、躍る。
璃桜に惹かれていると、鼓動が、血が、俺にわからせようとしてくる。
………馬鹿みてぇ。
こんな餓鬼に、――――この天下の歳三様が?
――――年上狂わせの、土方歳三様が?
「―――んなわけねぇだろ、阿呆」
自分で自分に、バカバカしいと苦笑する。
惹かれていきそうな自分が、怖かった。
純粋に、人を愛することに、怯えてた。
だから、璃桜に冷たくなってしまったのは、もはや必然。
「としぞう?」
「あんだよ」
「――どうしたの?」
気配に聡い璃桜は、俺が素っ気なくなったことに直ぐに気が付いて。
なのに。
「ぐあい、わるいの?」
―――あーもう、馬鹿。
優しすぎるって、残酷って、知ってたか?
そう口に出そうとして、だけど、その言葉は喉の内側でつっかえた。
まぁ、んなこと、子どもに言っても仕方ねぇか。
そう思ったから、―――血迷った。
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