出逢い

10/21
前へ
/68ページ
次へ
璃桜がいるだけで、胸が、躍る。 璃桜に惹かれていると、鼓動が、血が、俺にわからせようとしてくる。 ………馬鹿みてぇ。 こんな餓鬼に、――――この天下の歳三様が? ――――年上狂わせの、土方歳三様が? 「―――んなわけねぇだろ、阿呆」 自分で自分に、バカバカしいと苦笑する。 惹かれていきそうな自分が、怖かった。 純粋に、人を愛することに、怯えてた。 だから、璃桜に冷たくなってしまったのは、もはや必然。 「としぞう?」 「あんだよ」 「――どうしたの?」 気配に聡い璃桜は、俺が素っ気なくなったことに直ぐに気が付いて。 なのに。 「ぐあい、わるいの?」 ―――あーもう、馬鹿。 優しすぎるって、残酷って、知ってたか? そう口に出そうとして、だけど、その言葉は喉の内側でつっかえた。 まぁ、んなこと、子どもに言っても仕方ねぇか。 そう思ったから、―――血迷った。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加