84人が本棚に入れています
本棚に追加
「歳様よ!」
「きゃー、今日もステキね」
誰も、俺のことなんかわかってくれやしねぇ。
そんなことに余計にやさぐれた俺は、ある問題を起こして家を叩き出されたところだった。
女をいくら手玉に取っていたって、まだやっぱり餓鬼で、家族から、強い言葉を受けたのが理由で、涙が零れた。
―――情けねぇ。
泣いている姿など、誰にも見られたくなくて、河原の人目につかないところに膝を抱えて座っていた。
そんな時に、小さな璃桜に出逢ったんだ。
人の気配を感じて、ふと顔を上げてみれば、目の前には柔らかな髪の毛。
「………!?」
驚いて距離を取れば、ふわりと髪を揺らして近寄ってくる。
俺の傍にやってきていたのは、こまこまとした餓鬼。
陽の光に髪の毛がきらきら透けていて、やけに色素のうっすいやつだなぁ、と思った。
「おにーちゃん、どうしたの」
「……うるせぇ」
「泣いてるの?」
「………来んなよ」
「イタイイタイなの?」
「………」
「よしよししてあげよっか?」
最初のコメントを投稿しよう!