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そう言って、そっと俺の頭に触れた手が。
やけに、温かくて。
その温かみに、涙が零れ落ちそうになった、から。
「…………うるせぇってんだろ!!!」
手を、跳ね除けた。
途端、ぐにゃりと曲がるその小さな唇。
やべ。
行き成り怒鳴られたら、普通は泣く、よな?
年端も行かぬ子どもを怒鳴りつけてしまった罪悪感と、その後大声で泣かれたらどうしようという不安を抱えて、やっちまったと頭を抱えそうになった時。
「……おにーちゃん、ここが痛いんだね」
唇を歪めたままの悲愴な顔で、そう言って、ぺとり。
ちっさな手を、俺の胸に当ててきた。
「っ」
「お母さんがね、言ってたの。おにーちゃんみたいな顔の人は、ここが痛いんだって」
ジワリ、温もりが、染み込む。
その優しさが、胸に沁みる。
如何してそんなに小さいのに、この胸の痛みが、分かるんだよ。
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