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「おめぇ、……何歳だよ」
「おめぇじゃなくて、りおだよ。5さいだよ」
「り、お?……字は?」
「るりのりにさくら」
こいつ、自分の漢字分かってんのかよ。ぜってえ分かってねぇだろ。
「瑠璃の璃に、桜…?こうか?」
その辺の木の棒を使って、言われたままの漢字を書いてやったら、にっこり笑って、頷いた。
「うん、そう……きっとそうよ。おにーちゃんが書いてくれたから」
「……あっそ」
やっぱ分かってねぇんじゃねぇか。
なんて思うのと同時に、綺麗な名だな、似合っているな、なんて。
無駄にロマンチックなことを思ってしまった自分の頭を殴り倒したくなった。
染まった頬の色を戻そうと、しかめっ面をしていたら、くい、と袖を引かれて。
じっと見てやれば、ふんわり笑って、璃桜は手を挙げた。
「みてみて」
「何だよ」
「りおがつくったの」
そう言って俺に差し出してきたのは、シロツメクサの冠。
「すごい?」
「………ああ」
「でしょ!!りおすごいの!!」
肯定してやれば、それ以上に自己肯定感がすごい返事がかえってきて。
その得意げな表情が、――――笑いのツボに入った。
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