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達也は慣れた様子で写真がついたパネルを見て、決定ボタンを押した。デローンと紙が出てくる。部屋は最上階の部屋らしい。休憩二時間で一万六千円って表示があった。
「高くね?」
「高級ラブホらしいからな」
さすが優勝者は金に糸目はつけないってやつか?
達也は出てきた紙を手に、今度はエレベーターへ足を向ける。
エレベーターの中もやたらゴージャスだった。壁も天井もピカピカでキラキラと眩しいったらない。床は大理石みたいだ。
最上階まで上がったエレベーターが静かに開く。眼前は薄暗い廊下。チカチカと瞬く案内版。それを見て右折。前方に並ぶドア。一つドアの上で、チカチカ光ってる。部屋番号は『905』「ここだな」と言って達也はドアを開け、俺を引っ張りながら中へ入った。
「ま、まはらじゃ……」
王宮みたいな超豪華な部屋の内装と家具に俺の口はパカッとバカみたいに開いた。
「おお~すげぇ。さすが二時間で一万六千円!」
達也もはしゃいでる。リビングをグルリと見回し、王様が住みそうな部屋の奥にあるドアを開けて達也が叫んだ。
「マジかー! 聖一! 風呂入ろうぜ!」
達也のはしゃぐ声の方を覗く。
「わっ! 眩しいッ! なんだこれ」
ゆったりひろいスペースの洗面所には二つのシンクに、大きな鏡。その両脇に大女優の化粧台みたいに縦に一列に車のヘッドライトのような照明がビカビカと俺を照らす。眩しすぎて両腕を盾にしながら達也のいる浴室へ逃げ込んだ。そして、更なる仰天。
「えーーー! なにこれ! 風呂じゃねーだろ! 噴水だよ噴水だよ」
広すぎる浴室。片側の壁一面に温泉……というよりプールみたいな浴槽があって、壁から三本お湯の線が弧を描いてジャバジャバ水面へ落ちている。
「打たせ湯じゃね? 気持ち良さそうじゃん」
「すごいなっ!」
「さっそく入ろうぜ! あ、先に飯食う?」
バスルームからリビングへ戻ると、達也がフードメニューを開いた。美味しそうな肉料理、パスタ、お洒落なサラダ、スイーツ。さらにシーズンメニューもある。まるでレストランみたいに充実のラインナップ。和洋中華なんでも揃ってる。
「おおー、おまえの奢りだっけ?」
「うんうん。なんでも好きなもの食っていいぞ」
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