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風呂から出ると、立派すぎる脱衣所で身体を拭く。ピカピカ豪勢な洗面台の引き出しの中に、バスローブとビニールに入った清潔そうなパジャマの上下セットがあった。
風呂も入ったし、これからご飯だ。着てた服は午前中の作業のせいで汗もかいたし、ほこりっぽい。ちょっと考えて、俺はパジャマにすることにした。だって、バスローブって着たことないし。到底俺に着こなせるとは思えない。
部屋へ戻ると、ソファの前の豪華な丸いテーブルいっぱいにご馳走が並んでいた。「わーお」となっていると、視界に入った達也の姿に「ぶっ!」と噴き出す。達也はあのフカフカのバスローブを着ていた。
「お前、何着こなしてんだよ。似合いすぎ。ダンディか」
「家にはないけど、これラクでいいぞ。あ、映画も観れるって。どれにする?」
「おお、テキトーに選んで」
俺は、テーブルの上を見渡した。
あ! あったあった。
細いビンに入った高級そうなジンジャーエールをワイングラスに注ぐ。そして、携帯を持ち、達也にズイとグラスを差し出した。
「コレ持ってくれ」
「え?」
「ベッド座れよ」
「お、おう」
デカイベッドに達也を座らせ、携帯を構えた。
「はい、ポーズ」
容赦なくシャッターを切って、撮れた画像に爆笑する。
「ダンディにしようと思ったらワイルドになった。ほれ、見てみろよ。これ、名波メロンのポスターにすればいいんじゃね?」
達也は呆れ顔だったが、携帯の画像を見て同じように爆笑した。
「いいな。生産者の写真にしようかな。違う意味で有名になりそうだ」
「なんだよおまえ。貪欲だな。しかし、すげーな。ココ。なんでもそろってんだな」
壁に掛かったダーツの的めがけ、シュバッと投げる。内側の円内に刺さり音楽が鳴った。さすが俺。初めてでもしっかりいい線狙えてる。イエイ! と小さくガッツポーズしてソファに座った。
食事を楽しみながら大画面でアクション映画を観る。音響もいいスピーカー使ってるのか、迫力満点。映画館気分だ。
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