第一話 メロン王子

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「肉めっちゃ美味い! パンも!」  達也が美味しそうにバクバク食ってるところに、骨付きラム肉を差し出してやる。 「こっちの肉もすごい。こんなの食ったことないし。めちゃ上手い。ほれ、食べてみ」 「おう。カルボナーラも食ってみろ。すげぇクリーミー」 「もらうもらう」  お互い「ん~!」と何度も唸り声を上げ、ご馳走を平らげた。デザートまで食べたらお腹もパンパンだ。 「あー。食った食った~」  達也がキングサイズのベッドへゴロンと寝転がる。そのうちスースーと寝息が聞こえてきた。  豪華な部屋で遊んで食って大満足だ。こんないい遊び場が近くにあるなんて盲点だったな。値段はお高いが。ラブホってもっと薄暗くて、怪しい雰囲気だと思ってた。明るくて、綺麗だし、王宮だし。これだったら女の子も全然抵抗なんてないだろう。とはいえ、連れてくるおなごをまずゲットしないといけないわけだけど。  吉井さんの言ってたお見合いパーティ。マジ行ってみようかな? ラブホみたいに、意外な良さを発見するかもしれない。何事も、やってみなくちゃわかんないよな。そうだ、達也も誘って行ってみるか。一人だと勝手がわからなくって緊張しちゃうかもしれないけど、一緒ならイベント的なノリで楽しめるかもしれないし。  テーブルの下にメニューと一緒にあった部屋の案内みたいなのに目を通す。規約みたいなのがかかれていて、特に面白いものではない。次に映画チャンネル表をフムフムと見て、その下の案内に目がギョッと見開いた。  あられもない格好の女の子がバーンと載っている。そこで改めて「そうだったここはラブホだった」と思い出す。年甲斐もなくドキドキと興奮してきた。その手のビデオはもちろん見たことがあるのは言うまでもないんだけど、こういうところで目の当たりにするとどうにも平常で居られない。まるで中学生のようにイケナイ感に興奮する。  うむ。見たい。
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