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『富子さんへ
風邪はもう、良いのだろうか。辛い時には無理などせんでいいから、ちゃんと休んでもらいたい。
わしも長く一人で暮らしてきたから、身の回りの事はちゃんと出来る。
君の体が心配だ。風邪は万病の元と言うからね。
これまでずっと、まともな会話も出来ずすまなかった。
わしは上がり性で、口が下手で、ずっと黙り込んでしまって。君の話を聞いているばかりで、返してあげる事ができなかった。
それに、嫌われていると思っていたんだ。
わしはどうにも厳ついし、口下手で、目つきも悪い。大抵の女子がわしの事など嫌いだろう。
なのに富子さんは、わしの所に嫁いでくれた。
こんな美人で活発で、明るい人を貰って、わしはとても幸せ者だ。
だけど、余計に緊張して、話せなくなってしまった。
寂しい思いをさせてすまない。辛い思いをさせてすまない。
だがこの日記になら、もう少しわしも言いたい事を伝えられると思っている。
是非とも、よろしく頼みたい』
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