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「私はいくつに見える」
首を傾げ、レグニスはエィウルスに問いかけた。
「…さぁ?」
多く見積もっても十六、七。ぐらいかとエィウルスは考えていた。
「こう見えて、人間では初老と呼ばれる歳でね」
「…は?」
目を見開いて驚きを隠さないエィウルスの顔を見て、レグニスは吹き出す。
「そんなに驚くことか?お前は、正直な奴だな。面白い」
言って、袖を捲り上げた。
「見ろ。白い肌、まるで筋肉のない少女のような手足。そして顔。だが、こんな私には双子の兄がいてね。あやつは立派に成長をし、吸血も始まり、やがて王になった」
「吸血?」
「そうだ。話を聞かなかったか?人間を飼い慣らし、その血を糧とする輩だ。その王は、私の兄だ」
「じゃあ、あんたも血を飲むのか」
「…そんなに真っ直ぐに聞いてくる奴はいなかった。…少し、驚いたよ」
「…悪い」
「謝ることはない。そうだ。私も血を欲するよ。こればかりは…例外は無かったようだ」
沈黙の中、見つめる瞳が金に染まっていく。
「あんたの目…綺麗だな」
「これは吸血の際にしか現れない色だよ」
「血が、…欲しいのか?」
「無粋なことを」
レグニスはエィウルスの首に腕を回す。
そのまま、唇を重ねた。
レグニスの舌が、エィウルスの舌を招くように咥内を擽る。やがて絡め取られたエィウルスに、レグニスは歯を立てた。
「…っ」
痛みと、レグニスの行為に驚いたエィウルスは唇を離した。唾液と共に、紅いエィウルスの血が互いの唇を染めていることに気付く。
レグニスは、唇を離したことを咎める事無く、微笑を浮かべ、小さな舌で唇を舐めた。その意味を知ったエィウルスは再びレグニスに口付けた。
深く口付けた後、レグニスが唇を離した。
「…さっきの問いの答えが知りたいか」
「…どちらでも構わない。俺は、あんたの飼い犬なのだから」
「飼い犬が噛み付くか」
「噛み付くこともあるだろう」
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