隣人

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ギッ…… ギッ。 何かの気配を感じ、重い体を起こそうと身を捩ると・・・・・・ 目の前に、あのギョロッとした窪んだ目が光っています。 生ごみを放置した様な、おぞましい匂いに内臓が引きつった様に感じました。 3階だから大丈夫だと風通しの為に開けていたベランダの窓に誰かが立っています…… 「……て……」 黒い影が、グルンッと首を傾げました。 「コモリ、し……て」 余りの恐怖に、ギュッと目を瞑る事しかできませんでした。 気が付くと、朝になっていました。 恐る恐るベランダを覗いてみると……何事もなかったかの様に、 お隣りとの境にある隔て板が揺れていました。 あれから半年後、夫の転勤が決まり、引っ越す事になりました。 引っ越し業者さんにベランダにある物干しなどを運んで貰っていた時の事です…… 「あれ?奥さん、ここの隔て板、何度も外れた跡があるよ」 完
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