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二章 変化するカラダ
「……………………ハァ」
俺は重い――どこまでも重いため息をついた。
時間の流れを、これほど残酷に感じたことはない。昨夜は例の腹立たしいことこの上ない電話があって以降、一日中、明日が……つまり今日が来ないことを祈っていた。
祈り続ける他に、できなかった。
昨夜ほど、俺は馬鹿で無力なβだと、自分の存在を悔やんだことはない。俺にもう少し、真実を見通す力があったのならば、昨日のような悪夢は起きなかっただろう。
今の自分を苦境から助けてくれるのならば、祈る相手はなんでもよかった。
とにかく、俺は……今日ほど、朝が呪わしく思ったことはなかった。
(どうして夜と朝は繋がっているのだろうか……)
思わず哲学的なことを考えてしまう。一種の現実逃避だと、自分でもわかっている。
明けぬ朝はないなどと、昔のドラマか何かで言っていたが、出来ることならば
一生、朝などきてほしくなかった。
なぜならば、朝が来てしまうと。
「先生、おはようございまーす」
こうやって爽やかに挨拶してくる子供達がたくさんいる職場に、来なければいけないからだ。
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