二章 変化するカラダ

4/64
前へ
/129ページ
次へ
 彼らの無垢さを、無条件に信じていた。そして、痛い目を見た。  ……誰もかれも、あんな悪魔だとはさすがに思わないが、ああいう悪魔みたいな人間が、紛れていることは事実なのだ。否応なしに、警戒してしまう。  まるで夜道を一人で歩く女性みたいに、緊張している自分が本当に嫌だ。  なんで、俺が……  ただ平穏に、日々を過ごしていたかっただけなのに……  正直、歩くのもしんどい。肉体的な意味でも、精神的な意味でも。  俺は副担任なので、担任がいる限りはショートホームルームなどで教室へ行く必要はない。  行くのは、担任に何かしら用事があって、行けない時だ。教師というのは、生徒たちの授業を見るだけが、仕事ではない。書類仕事は山のようにあるし、授業の準備、生徒の生活態度等、進路に関しても色々と悩み、準備をしなければいけないのだ。色々要因が重なって、担任が教室に顔が出せない時に、俺のような副担任がかわりに受け持つのである。  なので、副担任である俺は毎日教室に行く必要はなく、自分の受け持ち時間以外、職員室で待機するなり、俺が担当している家庭科準備室で隠れているなりできるはずなのだが、わざわざ、脅しをかけてきたアレが、俺がそう簡単に見逃してくれるとは、とうてい思えない。     
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

238人が本棚に入れています
本棚に追加