二章 変化するカラダ

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 完全に足がついている場所ならばなんとか我慢できるけれども、海みたいな場所は無理だ。 「そう? 別に海で泳がなくても、クルージングだけでも楽しいと思うよ」 「いえ、せっかくですが……本当に誘ってくださって、ありがとうございます」 「わかった。じゃあ、今度は海じゃない時に誘うわ」 「その時は、ぜひ」  日笠先生とは話も合うし、休日に遊びに行くことができたら、それはそれで楽しいだろう。  昨日の一件で鬱々としていた気分が、少し晴れた。ありがとう、日笠先生。  デスクで授業の準備をしていると、ポンと肩を叩かれた。ハッと驚き、思わず警戒の眼差しをそちらに向ける。想定していなかった、キョトンとした眼差しが返って来た。 「……どうした、幽霊でも見たような顔して?」 「なんだ……史郎……若槻先生か」 「なんだとはご挨拶だな」  眉間にシワを寄せ、俺のこめかみ部分を軽く小突いてくる。だが、その小突き方も非常に優しい。まったく、痛くない。 「ごめんごめん」  彼は俺や日傘先生の同僚で、若槻史郎(わかつきしろう)。この史郎とは昔からの付き合いがあり、教師としてだけではなく、大学時代からの友人であった。  俺よりも頭一つ分は大きな身体で、逞しさがジャージを着ているようなものである。     
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