29人が本棚に入れています
本棚に追加
私はお風呂が好きだ。
特に浴室に本を持ち込んで、半身浴での読書タイムが。
日々の諸々のデトックスになっている。
もちろん、陸が先に浴室を出た後だけれど。
早い子は、小学1年生ならもう一人でお風呂に入るっていうけれど、陸はまだまだ一緒に入りたいらしい。
本が濡れないように念入りにタオルで手を拭いてから、念願の読書タイム。
今日も夢中になって20分程読んだところで、陸に割り込まれた。
「ママっ、電話!」
そう言って浴室の中まで子機を持ち込まれ、渡される。
「陸、先に電話に出て。」
その間にお風呂から出ようと思ったのに。
今度は目の前につき出される。
「もう出た。ママに代わってって。沙原コーチがっ!」
「ぅえっ?」
てっきり主人だと思っていたもんだから、コーチだと聞いてはびっくりして、「もしもし」というはずが、すっとんきょうな悲鳴になってしまった。
しかも陸。電話の通話のスピーカーのところ、押さえてないから、丸聞こえだ。
恥ずかしい。
そして気まずい…。
暫くの沈黙の後。
「ぶあっはっはっは。」
大爆笑が聞こえてきた。
「あの…。」
私の事はすっかり忘れてるのか、笑い倒している。
いいやもう、笑いたいだけ笑え!
この人、こんな風に普通に笑ったりも出来るんだな、などと思ったりもして。
コーチはひとしきり笑ってようやく電話をする気になったらしい。
「なんなんですか、それは。」
「いや、あの…、すみません。」
「構いませんよ、久しぶりにこんなに笑いました。」
はあ、そうですか。
「ほんとに飽きさせない人ですね。」
ムッ。
「それで、今日は?」
「用がなければ電話してはいけないのでしょうか。」
そりゃそうでしょ。
あなた、サッカー教室のコーチなだけで、お友だちじゃないんだから。
何を言い出すのやら。
この間から、血迷ってませんか~。
最初のコメントを投稿しよう!