冷たい瞳と熱いキス

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ずいぶん強引だな。 陸の都合だけ聞いて、私の予定は聞かないのか。 明日、ホントにデートするの? (正しくは勝負なんだけど。) この私が? 沙原コーチと? ……。 とりあえず、お風呂から上がろう。 上がる機会を逃してしまい、お湯の中で、茹だってしまいそうになっていた。 ふらふらっと、リビングのソファーに横になっていると、陸がコップにお水を汲んできてくれた。 「はい、ママまた長風呂!?」 お水を一気に飲み干すと、少し頭がクリアになる。 「ありがとう。生き返る~。」 「で、沙原コーチは何だったの?」 「来月のサッカーの試合に出るか出ないかを聞いてて、今日はその再確認だって。」 「ふうん。試合でも僕また頑張るからね。ママ絶対見ててね。パパにも見に来てってお願いしたんだ。」 え? 「パパ、来月の連休、帰って来るの?」 「帰って来るよう。ママ、聞いてなかったの?」 うん、聞いてなかった。 そっか。 「ママ、パパが帰って来るのに嬉しくないの?」 陸の前だった。 顔、作らなきゃ。 「もちろん嬉しいよ。ご飯何作ろうか。」 沙原コーチに取って付けた笑顔だなんて、もう言えないな。
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