冷たい瞳と熱いキス

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どうしようかと思いつつ。 結局ショッピングモールまで来てしまった。 10時を少し過ぎての到着。 車から降りて、カフェに向かうんだけど、途中のベンチに座り込んでしまった。 ここまで来ておきながら、こんなところで立ち止まってる。 中途半端だな、私。 沙原コーチは、もう来てるんだろうか。 ホントに私を待ってたりするんだろうか。 行くならさっさと行けばいい。 行かないなら帰ればいい。 それだけの事なのに、お尻がベンチに張り付いてしまって動かない。 刻一刻と時間だけが過ぎていく。 一体いつまでそんな事をしてたのか。 頭上からため息が、ふってきた。 「困った人ですね、こんなところで座り込んでるなんて。」 「沙原コーチ…。」 彼はカフェで私を待ちぼうけるでもなく、ましてや愛想尽かせて帰ってしまうでもなく。 今、此処に、目の前にいる。 私を探しに来たんだろうか。 私から少し離れて、後ろのベンチに背中合わせに座った。 腕を捕まれている訳じゃない。 弱味を握られてる訳でもないのに、立ち去ることも出来ないで、その場に座ったまま、一歩も動けない。
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