冷たい瞳と熱いキス

4/39
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
つまり、今日は取引先のお嬢さんか奥さまをホテルで接待してたってことか。 「今度、関西に遊びに行きたいって言っててな、お前、どこか良さそうなところ適当に見繕っててくれよ。それで、、、。」 滑らかに口が動き出してからは私は、邪魔しないように適当に相づちを打つのみに止める。 おしゃべりな男は営業向きかもしれないが、結婚には不向きだと昔誰だったか私に忠告をしてくれた人がいたけれども。 もう、仲良く会話する気も失せた私達のような夫婦にとっては、勝手にしゃべってくれるから便利だと思う。 主人が浮気をしている。 という証拠はない。 だからといって妄想なんかじゃあない。 証拠はないけど、確信してる。 女のカンってやつで。 まめな男だから、あっちにもこっちにもいい顔をして、家族つき合いも抜かりない。 こちらに被害が及ぶなら問題だけれど、上手に隠して遊んでくれるなら、それはそれでいいんじゃないかと思う。 もちろん、最初からそんな風に割りきれた訳じゃないけれど。 結婚生活は長いし。 子供は可愛いし。 ムカつくことに父親の事は大好きだって言うし。 仕方がない。 私にはどうしようもない。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!