冷たい瞳と熱いキス

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陸が学校に行ってしまい、一通り掃除を終えてしまうともうやることがなくなってしまう。 仕方がないから車で30分の大型ショッピングモールまで足を伸ばして、暇を潰す。 ウィンドウショッピングに飽きたら、お洒落なカフェでひと休み。 ランチ代わりの甘い軽食も、幸せな気分にしてくれる。 暇を持て余して私は働きたかったのに、主人の猛反対のおかげで引きこもり生活ももうすぐ10年。 主人は昔気質の人間というわけではないけれど、女が外に出て働くと良くないことが起こると思っているからだ。 自分が後ろめたい事をしているから、そんな風に思うのかもしれないけれど、私は良くないことをするのに、仕事は関係ないと思う。 私を欲っしてくれるような物好きがいればの話だけれども。 不自由ないだけのそれなりの生活費を家にいれてくれている主人が、どうしても駄目だということを振りきってまで何かをしようとは思わない。 問題は起こしたくない。 このままの穏やかな生活を続けることが私の望み。 外を眺めるでもなく眺め、ボーッとしていると急に目の前が陰る。 大きな影の方に顔を向けると意外な人間がいた。 「沙原コーチ…。」     
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