冷たい瞳と熱いキス

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「信じてませんね。」 そりゃそうでしょ。 「困りましたね。俺はこんなにも貴女を思っているのに。」 はあ…。 白昼堂々と大衆の中で。 全く困っていない様子で、むしろ私の反応を見ては楽しそうに、言葉をはいていく。 「ああ、アイスが溶けてしまいますよ。」 「うわっ。」 ランチ代わりの私のスィーツが! 衝撃的過ぎて、存在を忘れてた。 やだもう、半分くらい溶けてきてる。 慌ててかぶりつく。 アイスが溶けてしまう前に食べなきゃ。 と思ったのに。 「貴女だって俺のことが気になってるでしょう。」 続く爆弾発言にとうとう食べるどころでは無くなってしまう。 はあ? はあ? はあ? 馬鹿ですか、それとも自意識過剰過ぎる人でしたか。 私の蔑みの視線にもお構い無く沙原コーチは言葉を続ける。 「気づいていなかったんですか。貴女、いつも俺を物欲しそうな目で見ているのに。」 ん、んんん!? 流石に聞き流せない。 「何を言ってるんですか。とんでもない妄想ですね」 私がムッとするのを見ては、にやにやと意地悪な笑みを見せる。 「そうでしょうか。」 余裕の態度がムカつく。 「そうですよっ。」 「100歩譲って、そう言うことにしておいてあげてもいいですが。」 「譲っていただかなくてもそうですから!」 「そんな必死で拒否されたら、さすがの俺でもムカつくね。」 瞳に剣呑な光が宿る。 「そんなに自信があるなら俺と勝負しましょう。」
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