冷たい瞳と熱いキス

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なのにどうして気になってるだの、物欲しそうな目で見てるだの、言えるんだろう。 みんながみんな自分に好感を持ってるだなんて大間違いなんだから。 思い知らせてやる! 鼻息も荒く、陸の週2回のサッカー教室のお迎えに挑んでゆく。 「ママ、顔、怖いよ。」 いつもなら「そんな事をいう子にはお仕置き」ってなるんだけど、陸の言うとおり、今日は、怖かったかもしれない。 沙原コーチは先日私に気を持たせるようなことを言っておきながら、いつもなら上手にあしらっているはずの若いお母さま方と、今日はあからさまにべたべた、いちゃいちゃ。 これは一体どういうことなんでしょうか。 それでどうしたら私が好感を持てるって言えるんだろう。 「きゃー?、や~っぱりそうでしょ。沙原コーチもそう思いません!?」 なんて言いながら、その若いお母さまは媚びる瞳で見つめあげ、なんとも自然な仕草で腕を絡めていく。 「確かに、空くんのお母さんのおっしゃる通り。陸くんのお母さんもそう思いませんか。」 いまだかつて私には見せたことのないような笑顔で同意を求められる。 仕方がないので、いつものように曖昧に笑って「そうですね。」と、とりあえず合わせておく。 一体なんの話をしてるんだか。 いや、何だっていいんだけれど。 勝手にいちゃつくならまだしも、私を捲き込んだりしないでほしい。 沙原コーチは一体何を考えているのか。 振り回される私の身にもなって欲しい。
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