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部屋でくつろいでいると、幼馴染から一本の動画が送られてきた。
『あーあー、ん?もう入ってんの?これ』
なんだよこれ。あほか。
『えーーーっとだな、いつも顔合わすとさ、俺たちそれだけで喧嘩になるじゃん。だから、だな。動画にしてみた』
彼の部屋だ。
暫くその中に入っていなかったが、中学に上がる前までは頻繁に行っていた。
懐かしい。
彼の後ろの本棚に映る漫画達。あ……まだ、あの漫画あるんだ。
久し振りに読みたいなーなんて思いながらその動画を見る。
『それでだな、これから俺は重大な発表をする。良いか、紗理奈よーっく聞いとけよ。2度と言わないからな』
何よ、一体。随分ともったいつけた発表に、つい笑いが溢れる。
『紗理奈、俺は』
……。
やっぱりあいつアホだ。
肝心な所で切れてるし。
ピロリン
新たな動画が届く。
今度は言葉だけが届く。
ん?
「窓開けて外見ろ?なんだそりゃ」
まあ、暇だからその言葉に従ってみる。
カラカラカラ
「紗理奈ぁっ、俺はぁっお前が……すーきーだー!」
やっぱりあいつはアホだ。
こんな時間に、それ叫んじゃうか??
その返事を、私も動画で送ってみた。
窓の外で一人「やったーっ!!」と叫ぶ声が静まり返った住宅街に木霊した。
了
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