奇妙さ、それは奇妙だ

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「だから、外側の自分を知る。どうあるかの自分を見る。ほどほどに。そうして事態を把握する、と。そうすればとりあえず、自殺行為にはならないでしょう」  その言葉を聞いた僕は咄嗟に顔を上に向けた。そして目を瞑った。涙があふれないように、零れないように、願いながら。 「人生とは、なんて語る人間の大半は詐欺師だ」 「世間を語る人間の大半は、大嘘吐きだ」  亀は突然語りだす。合間に聞こえる咀嚼音はおそらくカラムーチョだ。 「自分の感性に鈍い人間は、遠からず死ぬ」 「死にたくないなら外側だ」 「カラムーチョはコーヒーと飲むとヒリヒリ度がアップする」  亀は格言のようなことをいくつか呟いていた。その時点でも僕はまだ目を瞑っていた。そうしてだんだん、亀の声が遠ざかっていった。最後に聞こえた言葉はこれだった。 「自分の今を認められる奴は、本物になれる」     
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