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最初の一文以降の言葉は耳に入って来なかった。
自分と同い年の女の子が、一国の大統領になる――信じられない。こんな事があって良いのだろうか、あるはずがない。
いや、あってはならない筈だ。
こう言う時には、誰かに賛同を求めたくなる。
動画のコメントには同じ様な人間が溢れかえっていた。
(信じられない、あり得ない)
と言う言葉が並んでいる。
僕も続いて同じ様な事を書き込もうとした。
でも、とめどなく流れるコメント達を見ているうちに、急激に自分が冷めて行く――と言うより、客観的になって行くのを感じた。
『あり得ない』って決めるのは誰なんだろう。
あって良い事と、あってはならない事を決めるのは、一体、誰なんだろう……そう、誰でもない。
そんな事、決められる人間など存在しない。
やろうと思った者が、やり遂げられるかどうかなのだ。
頭では分かっていても、なかなか認められない。僕が、やれない人間だからだ。だから今もここにいる。誰にも会わずに、独りでパソコンの前に座っているのだ。
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