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「それにしても、魔法使いになるメリットってあるの? 何の得もしないんじゃない?」
「少ないけど、メリットがないわけじゃない。魔法使いになれば、魔法にかからなくなる。例えば、杜夫が魔法をかけられたとしても、魔法使いである俺から見れば、杜夫は元の杜夫のままなんだ。どんな魔法使いにも、僕をだまくらかす事はできなくなるのさ。それに、魔法使いになっても、魔法を使わなければただの人……。今までと何も変わらない。デメリットはないんだ。まあ、一番の理由は杜夫も知ってのとおり、俺は元からモテモテなのさ。魔法なんかなくってもね」
僕は腕を組んで少し考えた。魔法を使わなければただの人なんだから、デメリットはないって言うけれど、わざわざ、この千葉から東京まで出掛けていくこと自体がデメリットに感じる……あんなに人が大勢いるところに……。
「うーん……釈然としないけど、ユーマは魔法使いになる事を選択した。だから、僕に魔法をかける事ができると言うわけだな」
「その通り」と、言うとユーマは胸を張った。子供っぽい仕草も何だか様になる。女の子なら、可愛いともてはやすのだろう。
確かに、ユーマは自他共に認めるモテ男だ。でも、やっぱり、釈然としない……相手が男と言うのは、ひょっとしたら嘘かもしれない……本当はものすごい美人なんじゃなかろうか……。
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