佐賀国大統領と太陽の光

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佐賀国大統領と太陽の光

 今日のネット検索には身が入らない。  約束の日は明日だ。明日、ユーマがやって来る。  何と答えれば良いのか、その前に、魔法は本当にあるのだろうか――ある訳がない、そう思っているのだけれど、ユーマのあの真剣さは本物だ。  ユーマ自身が、心の底から騙されているのか……。  だったら、別に、適当に答えればいいんだ、嘘でも本当でも、そんな事、構いはしない。  でも、そんなにいい加減な気持ちで、真剣なユーマに答えていいのか、ユーマの顔を思い出すと胸が痛む。  ダラダラとマウスを動かしていると、急に速報板が騒ぎ出した。  何か、とんでもない事が起こったらしい。取り敢えず、ユーマの件は置いておいて、引きこもりの仕事に身をいれようと、ざわつく板に入って見た。  飛び込んで来たのはとんでもないニュースで、思わず大声をあげて笑ってしまった。 『佐賀県が日本から独立! 佐賀国が誕生!』    と書き込んでから、過去ログをあさった。  読み進む程に、液晶に映り込む僕の顔から笑顔が消えて行く。  本気だ――佐賀は本気で独立している。
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