裂けている女

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裂けている女

今日は、先輩に誘われて合コンの日です。 先輩は高校時代の二学年上で、高校時代は私のことを可愛がってくれました。 先輩はW大の商学部に進学して卒業と同時にN証券に入社して働いていました。 私は、四浪して都内の三流私大に入り四回留年して無名の食品会社に就職しました。 先輩が私のために女子大学の学生二人と合コンの用意してくれました。 私が遅れていくと、先輩と女子たちは飲んでいて、先輩の得意な話術で盛り上がっていました。 席につくと、女の子二人の少し席二つ分離れたところに、もう一人地味な感じの女の子が座っています。 男二人に女三人と変な組み合わせだなと思いましたが、それ以上気にしませんでした。 先輩は「口裂け女」のことを話していました。 「君たち、知ってる」と女の子たちに尋ねます。 もちろん知っているわけがありません。 僕だって、今年で45歳の叔父から聞いた話ですから。 「何、それ」と女の子たちは興味深々です。 先輩は、「昔さ、顔の整形手術に失敗した女の人がいてさ、口が大きく裂けちゃったの」 「それで、いつもしている白いマスクをとって、私、綺麗」って聞くんだって、 当時、社会問題化したらしいのよ」といっています。
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