第1章

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電話を切った彼女は、窓から月を眺める彼の元へ行き、どうしたの?と訪ねた。 彼は美しい月を見上げて、綺麗だよ、と笑った。 そんな小さな事ですら、彼には幸せだった。それこそが、生きていて、彼女と過ごす証だったのだ。 彼女は、月を綺麗な白だと言ったが、彼は死人の肌と同じだと口にした。 それを聞いた時、彼女はぞっとしたように彼を見つめた。 うっとりと彼は月を眺めていた。
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