第2章
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杏子が寝静まった部屋から、静かに扉が閉まる音がした。 山際の、それなりに値段も格安なアパートから、1人の男が闇夜に紛れて山へ向かっていく。 色の白い、死人のような男は山の中へ真っ直ぐ入り、獣道を抜け、森の中の開けた場所に出た。 男が見つめるのは月ではなく北斗七星だった。 次の瞬間、彼の口から人間とは思えない声が飛び出した。
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