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「……光希?」
杏子は扉の先にいた人物に目を丸くした。
そこにいたのは、山で遭難して亡くなったはずの、彼女の恋人だった。
「杏子、ただいま。」
彼女は何も言わなかった。正しくは何も言えなかったの方が正解だ。
とにかく、彼女はただ、何も言えぬままそこに立ち尽くし、彼はそんな彼女の気持ちを全て受け取った上で、そっと抱きしめた。
「ごめんね、もう1人にしないから。」
抱きしめた腕の中の彼女は震え、泣いていた。
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