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窓から夕日が差し込み、部屋をオレンジ色に染めている。
日曜日の午後5時をまわったところだ。
休日ももう終わろうとしていた。
キッチンから醤油と出汁が混ざった匂いがリビングまで届く。
食欲がそそられお腹が鳴った。
「ねぇ、ちょっと来てぇ!」
呼ばれたので雑誌を机に置き、彼女の方へと向かった。
腰まで届きそうな髪を一つにまとめ、花柄のエプロンを身にまとっている。
今時、エプロン姿は珍しかった。
もちろん、俺からすると大歓迎だ。
それに小柄な彼女によく似合っている。
可愛らしい手には、ちょこんと小皿がのっていた。
「今日はぶり大根だよ」
俺がいつも通り口を開けると、口へと料理を運んでくれる。
まずは、ぶりから入った。
噛みしめるたびに煮汁が口の中に広がる。
続いて大根。
一口噛めば煮汁が溢れ出てくる。
「うん、美味しい」
「ほんと? よかったぁ」
嬉しそうにクシャッと笑う。
「じゃあ、もう少し待っててね」
俺はリビングに戻り、読みかけの雑誌を手に取った。
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