狂った日常

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プルルルル、という甲高い機械音で、私は我に返った。 すぐ横の固定電話が画面を光らせ、着信を私に伝えている。 そして、その光の中に表示された番号に、私の心臓はどくり、と一つ音を立てた。 心臓が暴れ、呼吸が浅くなる。 はっ、はっ、という自分の息の音とともに、身体の熱がどんどんと引いていき、指先が青白くなっていく。 感覚が薄くなったその指を震わせながら、私は電話に手を伸ばした。 急がなければならない。 3コール以内で出なければ、今日もまた、私は。 すでに二つ目のコール音が、ふっつりとむなしく消えていた。 あと一回。 許される最後のコール音が響いた時、私の指は受話器にたどり着いた。
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