回想-始まり-

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回想-始まり-

私の父は、殺人を犯した。 職場の上司を殺したのだ。 事故などではなく、意図的に。 原因は職場でのパワハラだった。 連日残業を言い渡され、終電でも帰れないような仕事量を押し付けられた。 半年ほどその生活に耐え、心身ともにボロボロになった父に対して上司が放った一言がとどめになった。 「お前みたいな使えないやつが仕事をもらえるだけいいと思え。これからも一生お前は俺の奴隷だ」 気づいた時には父は上司の首に手をかけ、力いっぱい締め上げていたという。 誰も止める間もないほど一瞬で、我に返った社員たちが慌てて父と上司とを引き離した時にはすでに上司の息は止まっていた。 父が殺したことに、疑う余地はなかった。
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