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ちょっとだけ近づいてまだ持ってた傘でおばけの足あたりにうろうろ振り回してみたら怒られた。え、痛いの?普通にすり抜けてるけど、痛いの?
『それが分からないから俺は地縛霊してるわけなんだけど』
「じばくれい」
『そう、多分、いわゆる』
「じゃああの、それが分かったら出てってくれますか」
『そうなるね、ここに留まる理由はないし』
「よし」
『お、当てでもあるの』
携帯を取り出した俺の周りをおばけはふわふわうろうろする。当たらないように傘を振り回すと逃げるように離れた。
当て?そんなのはないけど。俺にはなんといっても文明の利器があるのだ。
成仏、仕方、検索。
「……」
『……』
「……」
『……馬鹿なの?』
おばけにすら憐れまれた。いや、ほら、一人一台以上ネットワーク接続機器を持ってる時代なわけだし、ほら、誰かほら、なんか、あるかもしれないし。
……なかったけど。
「……わかりました」
『なにが』
「探しましょう」
俺のプライベートといつか来るだろう薔薇色のキャンパスライフのために。探そうじゃないですか。
『……邪だねえ』
「うるさい!」
たまにこのおばけ、俺の心を読んでくるし!はたちの大学生なんかそんなことしか考えてないよ!
「じゃあ決めましょう」
『は?』
「生活のルールです」
『……ん?』
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