暗く残酷で孤独な道

2/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 僕は、気が付くと暗い森の中にいた。 その森はとても暗い。前が見えず、凍えるような寒さが僕を襲う。その寒さは、体感的に感じる寒さとは何かが違う。その寒さは、僕の体内に侵入し、僕のココロに直接突き刺さってくる。それが突き刺さった瞬間痛みを感じる。その痛みもただ転んでけが押したときのあのひりひりした感覚とはまた何かが違う。それはココロをきゅっと、縛り、縛られたらとても心苦しくなる。  しかし、このような状況でも僕が今いる場所は、森だとわかるわけは、微かに木の香りがするからだ。ふつう、木の香りは心を安らかにしてくれたり、心を落ち着かせる陽の効果があるが、今、僕が感じているその香りは、僕のストレスを溜めてゆく。イライラしてくる。今すぐ叫んで暴れまわりたくなるような香りだ。 (なぜ、僕はここにいるのだろう?) (ここはいったいどこなのだろう?) そんな気持ちが僕の体内に響き渡る。今すぐここを出たい!ここにはいたくない!その言葉を体全体が僕の脳に電信させている。冷や汗が体のいたるところに湧き出てきた。 その瞬間、僕の足元だけが見えてくるようになった。足元にあったものは、道、だ。かなり雑だがその周りにある草と は対照的にこの道は土だ。その土には、点々と草が生えている。その道は、草むしりによってできたんじゃないか?そう思うほど汚い。しかし、今はそんなことよりも、この道を進まなければならない。この森から抜け出すためには、この道をたどってゆくしかない。そうしなければ、僕は一生この森にいることになってしまう。そんなの嫌だ。絶対に…
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!