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地下街に有る、暫く通っていた喫茶店でずっと気になっていた事が有った。
「ねぇ、何であそこの席何時も空いてるの?」
顔なじみになったウエイターの男性に聞いてみると、困ったような顔をして答えた。
「、、、、、、、あそこで御座いますか。座っていただいても構わないのですが。責任は負いかねますので」
どういう事かは深く説明してくれなかった。今になってみれば他のお客に話しを聞かれたくない為であったのだと思う。
秘密を暴くという冒険心とワクワク感によってその座席に座る事となった。
奥ばった場所に有り、壁際の個室になった様になっている場所の席は特等席のようにも思えた。
「良いんじゃないかな。むしろ何で使わないんだろう」
しかしすぐにそれに気がついた。持って来たお冷をテーブルに置くと水が止まる事無く揺らいでいた。
振動する物は無い。オカシイと感じふと視線を感じるとテーブルの裏から有り得ない角度で黒いスキンヘッドの男が覗き込んで来ていた。
「ひぃ、、、、、、、、、、」
小さな悲鳴だけ上げると、店員さんは”またか”と言う困った感じで別の席に誘導してくれた。
勿論、私がその席に座る事は無かったが未だにその喫茶店には通っている。
今日も誰かが小さな悲鳴を上げるのを聞きながら。
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