東雲桃矢という人

1/5
83人が本棚に入れています
本棚に追加
/124ページ

東雲桃矢という人

まずは俺という人間を知ってもらいたい。 名は東雲桃矢。女声、女顔で、ある種損な人生を送っていた。幼稚園から中学まで男友達ができた試しがなく、むしろからかわれてばかりだった。親戚やご近所の人達には女と間違われ、訂正しては心底驚かれたりする。ひどい時はナンパまでされる始末である。 野郎共のからかいや、女の様な容姿に抗うように生活をしていた。誰よりも男らしく、自分なりの流儀で生きてきた。 そのおかげか、女には困らなかった。 高校に入ってからは特に言い寄られた。 だが体だけ、形だけの付き合いばかりで心がなかった。 俺はきっと、このまま恋心を知らずに死んでいくのだろう。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!