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東雲桃矢という人
まずは俺という人間を知ってもらいたい。
名は東雲桃矢。女声、女顔で、ある種損な人生を送っていた。幼稚園から中学まで男友達ができた試しがなく、むしろからかわれてばかりだった。親戚やご近所の人達には女と間違われ、訂正しては心底驚かれたりする。ひどい時はナンパまでされる始末である。
野郎共のからかいや、女の様な容姿に抗うように生活をしていた。誰よりも男らしく、自分なりの流儀で生きてきた。
そのおかげか、女には困らなかった。
高校に入ってからは特に言い寄られた。
だが体だけ、形だけの付き合いばかりで心がなかった。
俺はきっと、このまま恋心を知らずに死んでいくのだろう。
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