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子供は大人へと成長する。そのうちアズマも好きな異性ができて、結婚し子供を作る時がくるだろう。
「俺は、これでよかったんだ」
正直旅に出る前のシオンには、平和になった後の世界がまったく想像できなかった。アズマのことだけを想いあ生きてきたので、今更異性に興味はない。
だからといってアズマと共にいれば、重荷になる日がくるのはわかっていた。身を削る気持ちで離れることになるのなら、一番楽しい時期に別れるほうがいいのかもしれない。
手をのばせば会える距離にいるのに黙って見ていなければいけないなんて、そのほうがシオンには辛い。やっぱり自分勝手だな、と苦笑をこぼす。
「大事な話って、なんだったのかな」
先程言われたことを改めて考えてみる。アズマにしてはかしこまった言い方をしていたので妙に気になったのだ。
しかしきっとわからないほうがいい。
永遠にわからない謎が一つだけ残ってしまったけど、シオンにとって喜ばしいことかどうかについては疑問だった。
今夜は眠れそうにない。どうせなら、一晩中アズマと過ごした日々を思い返していようとベッドに寝転んだ。
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