第4章 信じるものは

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「嫌、お願いです、止めてください……っ、ああんッ」  漏れ出てしまう声を抑えたくても、蜜事を覚えている身体は快楽を貪ろうと腹の下に熱を集めて、おいしそうにディオンの指にしゃぶりつきどうしようもない。 「囀ずるような愛らしい声は、私が予想していたままです。あなたを何度も何度も夢の中で犯し、よがらせ、その中に私の熱いものを沢山放ちました」  不意に、彼がポケットから(すみれ)色の小瓶を取り出した。  目の前にかざされ、傾けられたそれはとろみがあるように思われ、なんでそんな得体の知れないものを見せてきたのか分からず、視線が泳いでしまう。 「これは極上の快楽を与えてくれるものです。さあ、皇帝陛下のことを忘れ、解放されてください。私に全てを(さら)けだし、私なしでは生きられなくなればよいのです。それこそがあなたが救われる、唯一の方法ですよ」  そんなわけないと言い返したかったのに、熱く蕩けさせられた場所にひんやりとした感覚が走り、喉がひきつって言葉が詰まってしまった。  とろみのあるその液体が、じわじわとセレーネの儚い場所に吸収されていく。 「な、に……熱、い……?」  身体の芯が突如熱を帯び、苦しささえ覚えた。  垂らされた場所から甘い痺れが波のように襲いかかってきて、しっとりと肌が汗ばむ。  なにがなんだか分からない。  ただ分かるのは、リンネルが擦れるだけで嬌声がもれてしまうくらいに、快感を享受してしまうということだ。 「この媚薬は直接秘所に塗ると、すぐに効果がでるんです。さあ、啼いてください」  今度はたっぷりと指に媚薬をまとわせて、ディオンはセレーネのナカに運んだ。  ぬるりと滑りの良くなっている指が内壁を撫で上げ、軽く刺激を与えてくる。 「や、やめっ」  途端に脚が小刻みに震え、自分の身体ではないかのように下腹部が酷く疼き、腰が揺れてしまった。 「あっ、嫌、嫌なのに……」  思考が、白く塗りつぶされそうだった。  嫌だと叫ぶ心とは裏腹に、身体は確実に快楽を求めていて、蜜口を(すぼ)めてしまう。  そんな、どうして。自分はテオドール以外に触れられても、悦びを覚えてしまうというのか。  そんなはずがないと奥歯を食い縛り、セレーネは荒くなる吐息を整えようと必死になる。 「お願いします、やめ……、やぁアッ」
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